慰謝料が認められるケース、認められないケース

浮気や不倫をされた側はもちろん、した側も気になるのが「浮気や不倫と認定される範囲」。
自らの事例が範囲内であれば慰謝料を請求される可能性が高くなりますし、浮気や不倫の範囲外であればされた側は慰謝料ではなく示談書という方針に転換することもあり得ます。
浮気や不倫の範囲を定めるにあたって大いに参考になるのが、過去の裁判の判例です。
裁判は基本的に「前例踏襲主義」であり、前例と似通ったケースであれば適用範囲や慰謝料の額も似通ってきます。

■浦和地裁(1985年1月30日)
請求者:夫
被請求者:妻の不倫相手
請求額:不明
婚姻関係:協議離婚
不倫期間:2年以上
認められた慰謝料:500万円
このケースでは、夫が請求者という若干珍しいケースですが、それも妻が不倫交際のために600万円以上の借金をしていたからです。
結局その600万円の借金は夫が返済することとなり、この条件でしたら借金の600万円が慰謝料額として認められても良いものです。
しかし、不倫相手が一方的に誘ったわけではなく妻にも結婚生活に対する不満があり、それも不倫に至った原因ということが総合的に勘案されました。
一方的に不倫相手が悪いのではなく、結婚生活を円満にできなかった妻にもいくばくかの責任があるということで、請求金額は不明ですが減額となっているのでしょう。

■東京地裁(1992年12月10日)
請求者:妻
被請求者:夫の不倫相手
請求額:500万円
婚姻関係:継続
不倫期間:8か月程度
認められた慰謝料:50万円
こちらはよくあるケースといえます。
夫が職場の部下である女性と不倫関係になり、8か月程度不倫関係にありました。
請求額は500万円でしたが、認められた慰謝料はその10分の1である50万円でした。
かなり少なくなってしまいましたが、それには様々な要因があります。
まず不倫の主導権をどちらが握っていたかですが、主導権は夫にあり不倫相手の女性ではありませんでした。
次に、現在は婚姻関係は修復されましたが不倫前に婚姻関係の破たんがあり、不倫が原因で妻が精神的損害を受けたとは考えにくいです。
また、結局は不倫関係は解消と名r夫婦関係も修復されたこと、そして、不倫相手の女性は結局退職して社会的制裁を受けています。
これら4つの要素は、いずれも妻にとっては慰謝料金額を増やす要素とはならないため、慰謝料としてはかなり低い相場となりました。

■最高裁判所(1996年3月26日)
請求者:妻
被請求者:夫の不倫相手
請求額:不明
婚姻関係:別居後の不倫関係
不倫期間:不明
認められた慰謝料:0円
最後のケースは、慰謝料を一切もらえなかったケースです。
なぜ慰謝料が1円ももらえなかったか、それは不倫が始まった時にはすでに婚姻関係が破たんしていたからです。
「婚姻関係の破たん」とは、離婚もしくはそれを前提とした別居の状態にあることを指します。
この夫婦は性格の不一致から別居を選択し、その後に夫がホステスの女性と不倫関係にあり、その後同棲するまでに至りました。
夫とホステスの女性は肉体関係にあったため、一見すると慰謝料を請求できそうですが、慰謝料請求の前提として「婚姻関係が継続していること」が挙げられますので、これに該当しない今回のケースでは、ホステスの女性は慰謝料を支払う義務を負いません。
ここでのポイントは、「別居」にあります。
同じ別居であっても、「家庭内別居」であればまだ慰謝料請求の可能性はあったかもしれませんが、不倫前から別居していた上に不倫相手と別の生活を築いていたのですから、妻にとっては極めて旗色が悪いです。
この場合、第三者であるホステスの女性に慰謝料を請求するのではなく、夫に請求すれば慰謝料は認められるでしょう。

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