慰謝料が認められるケース、認められないケースその2

裁判の判決は前例踏襲主義を採用していますので、過去の判例が現在の裁判にも大きな影響を与えます。
それは刑事事件のみならず民事事件、離婚訴訟においても言えることですので、過去の判例を学ぶことで慰謝料の相場を知ることができ、とるべき対策を検討できるというものです。

■東京地裁(2006年11月27日)
請求者:妻
被請求者:夫の不倫相手
請求額:不明
婚姻関係:離婚
不倫期間:1年8か月
認められた慰謝料:200万円
この裁判では、妻に有利な材料が多く出てきました。
まず、妻についてです。
それまで夫婦の仲は長い間ごく普通でしたが、不倫を契機に仲は一気に冷え込み離婚に至っています。
夫婦の間に子供がいたことも、妻にとっては有利な材料です。
不倫が原因で妻は医師から睡眠薬を処方されるなど、精神的損害は相当なものであったと考えられます。
次に夫ですが、夫の態度もあまり良いものではありません。
夫は不倫相手の女性に対して「妻とはずっと不仲」と嘘をついており、これは不倫相手の女性を安心させるための言葉と考えられます。
そして不倫相手の女性も、妻に有利な材料を多く提供するに至っています。
不倫発覚後も不倫関係を継続しており、これが夫婦関係を破壊する意思があると判断されます。
しかもその際、不倫相手の女性から妻に対する謝罪が一切ないことも、女性の印象を悪くしているでしょう。
ただしこの中で唯一の減額要素ともいえるのが、不倫の主導権が夫にあったということ。
これによって、本来ならば相場よりもかなり高い慰謝料が認められるところを、相場と言われる金額に落ち着いたものと考えられるのです。

■東京地裁(2007年4月5日)
請求者:妻
被請求者:夫の不倫相手
請求額:不明
婚姻関係:離婚
不倫期間:2年3ヶ月
認められた慰謝料:300万円
こちらはおそらく、不倫における慰謝料の上限金額ともいえる判例です。
何しろ、この訴訟では減額要素が見当たりません。
まず妻ですが、医師であり社会的地位が高いとされている職業ですが、不倫によりその社会的地位が失墜する可能性もあります。
不倫関係になるまで夫婦関係は普通でしたが、不倫を契機に婚姻関係は破たんしました。
次に不倫相手の女性ですが、特に彼女が増額要素であるともいえます。
まず彼女も医師であり、社会的地位があり財力もあることから、ある程度の慰謝料は支払えるものと判断されます。
妻は彼女に対して不倫をやめるように求めましたが、彼女はそれに対して謝罪することもなく明確な回答をせずに関係を継続したことから、積極的に夫婦関係を破壊しようとしたと判断されました。
不倫回数は10回以上、不倫期間は2年3か月と、頻度、期間ともにかなりの増額要素です。
これらの増額要素を勘案して、相場の上限である300万円となりました。

■東京地裁(2002年7月19日)
請求者:妻
被請求者:夫の不倫相手
請求額:不明
婚姻関係:離婚
不倫期間:不明
認められた慰謝料:300万円
こちらは、かなりドラマチックなケースです。
結婚生活10年目ごろから不倫をはじめ、やがて不倫相手と海外に駆け落ちしました。
翌年夫は帰国しましたが不倫相手と同居しており、しかも妻が住む家に「通勤」して家業に従事していました。
妻が家業を手伝うことが不倫相手を養うことにつながるという、なんとも屈辱的な展開となっていったのです。
夫の不倫相手には300万円の慰謝料支払い命令が出ていますが、これとは別に夫に対しても1000万円の慰謝料支払いが命じられております。
通常、夫側から慰謝料の支払いが命じられれば、それで妻の精神的損害は賠償済みと判断されるものですが、加えて300万円の慰謝料が上積みされるということは、妻の精神的損害は相当なものであると推察されます。

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