不倫訴訟の判例から慰謝料を紐解く

不倫の慰謝料の金額は、様々な要素を加味して決定されます。
いろいろと言われていますが、最も参考になるのは訴訟で裁判所によって出された判決でしょう。
そこでここでは、実際の不倫訴訟で出された判決を見てみます。

名古屋地判(1991年8月9日)
まずは、妻が不倫相手であるフィリピン人女性に対して請求した判例を見てみましょう。
慰謝料の請求金額は1000万円でしたが、実際に裁判所によって認められたのは100万円で、その後の婚姻関係は継続しています。
不倫関係は2年以上で婚姻期間は20年以上、妻は家業の女主人としての社会的地位も確立しており、舅も妻の気持ちを理解しています。
一方で、フィリピン人女性との不倫期間中も夫は家業はしっかりとこなしており、妻とも同居をしていることを総合的に勘案して、100万円となりました。
店の信用を傷つけたという意味では、1000万円の請求もわからないではありませんが、同居しており婚姻関係も継続していることを考えると、これくらいの金額が妥当でしょう。

■東京地判(1998年7月31日)
次は、夫が妻の不倫相手である男性に対して請求した判例です。
慰謝料の請求金額は弁護士費用147万円を含む947万円でしたが、実際に裁判所によって認められたのは弁護士費用10万円を含む110万円で、妻は不倫相手と同棲しておりました。
婚姻関係は10年以上はあるものと推測されますが、10年以上夫婦生活は存在していません。
妻は結婚生活に不満を持ち、積極的な意思によって不倫をしたあたりは、慰謝料を多くもらえる要素があったのですが、一方の夫も妻に対しては無関心でした。
深夜に出かける妻を放置して仕事重視、不倫相手との話し合いの際にも夫の態度が妻に対する愛情をさほど感じさせるものではありませんでした。
婚姻期間や不倫に対する妻の積極性を考えれば、十分に高額慰謝料も考えられましたが、夫の態度や愛情も総合的に勘案して110万円となりました。

大阪地判(1999年3月31日)
そして、妻が夫の不倫相手である夫の同僚の小学校教師女性に対して請求した判例も見てみましょう。
慰謝料の請求金額が1200万円に対して、実際に裁判所に認められたのは300万円と請求額の4分の1ではありますが、慰謝料の相場から見てみますとかなり高額な部類です。
その理由として大きかったのは、不倫期間とその結末です。
不倫期間は20年程度とかなりの長期間であることに加えて、最終的には結婚生活が破たんして別居に至ったという事実がかなり重いです。
ちなみにこれと並行して、夫と不倫相手の女性が会うことの差し止め請求、2人の同棲差し止め請求については、前者が会うこと自体は違法ではないという理由で、後者は精神的損害は金銭によって補てんされるべきとの理由から、いずれも棄却されています。

横浜地判(1991年9月25日)
最後に紹介するのは、妻から夫の不倫相手である女性に対して請求された判例です。
慰謝料の請求金額は300万円でしたが、実際に裁判所に認められた金額は0円でした。
不倫の結果協議離婚にまで至ったのに、一切慰謝料が認められないのはこれだけでは納得できませんが、実はこの前に夫から妻に慰謝料が500万円支払われており、これに加えて不倫相手らの請求は認められないということです。
不倫相手は当初は夫を既婚者と知らなかったが、知ったのちも不倫関係を継続していたこと、妻に発覚後3年ほど中断していたもの再開したこと、さらに離婚の原因が主に不倫関係にあることを勘案すれば、本来の慰謝料は300万円が妥当としています。
ただし、夫から妻への500万円で精神的損害は補てんされており、改めての請求は棄却されました。

コメントをどうぞ

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です